旅のラゴス
今年は本を読むぞ-、と意気込んでから早2ヶ月が過ぎていたので
読んだ作品。ふらっと本屋にいって煽られるように購入しました。
人生はひとりの旅、文明は人類の壮大な旅。
突然高度な文明を失った代償として人々が超応力を獲得しただした「この世界」
ラゴスの冒険が、いま始まる
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/01
- メディア: 文庫
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久々に本を読んだので途中で投げ出す可能性も有りましたが、リハビリにはちょうど良い長さ、やっぱり文学に触れるのがいいよね、とカヲル君がささやいているような作品。
物語は、SF連載小説といえばいいのか、ラゴスという主人公が、SFチックな(瞬間移動、壁抜け、読心術etc)体験をしながら世界中を旅していくもの。
「旅のラゴス」の星は、科学が未発達で中世くらいの暮らしぶりをしているが、その祖先はどこかの高度文明人である。何一つ傷のない宇宙船、彼らが残した多くの書物から、ラゴスが文明を開花させていくのだが、闇雲に技術を発展させるのではなく、現在可能と思われるものから徐々に社会に浸透させていく所にやたらと関心してしまった。
現在の社会が必要とし、また実現も可能であると思える技術やその理論のみを書物として残しておくべきだと思う。段階を踏まぬ飛躍は社会に有害であると思えたし、秩序が崩壊する恐れもあった。
現実でも超魔術的な技術革新は受け入れがたいことが多いし、皆が納得出来るような技術を段階的に踏まなければ科学の発展がない。何より、資本として次に繋がりにくいという点。
それ以上に周りに理解が得られるのは基本的に今の延長線上で起こり得ると思われる、常識的な価値観、感性をもちつつ、未来への解決につなげていくかが大切で、そこをふっとばすと本当はそれが最も効率的で最適解だとしても、現実になるのは難しいものであると日々の社会人生活を送っていた自分になにかささる部分でした。